2014オーロラ旅 その2

3・4日目の夜は、まさかの曇り…。
「晴れますように…」そう願いながら、薪ストーブや温かい飲み物があるティーピーと呼ばれるテントで待っていた。毎晩50人程がツアーを延長し、晴れるのをひたすら待つ。「オーロラを見たい」という、同じ目的なのでオーロラ談議も弾んだ。今回の旅で一番楽しい時間だったかもしれない。
最終日の5日目。夜空には雲が広がっていた。次第に雲が薄くなり、東西にかかる帯状のオーロラが出てきた。南西にはイエローナイフの街明かりがオレンジ色に見えている。
本来、街明かりは邪魔なものだが、州都イエローナイフは約1000キロ南にあるエドモントンからの長距離バスが廃線になったので、飛行機のみの陸の孤島だ。現地の人が犬ゾリや車で何百、何千キロも移動し、やっとたどり着いたイエローナイフの街明かりは、灯台のようで温かいものに見えるだろう。そう考えたときから、街明かりは邪魔と思わなくなった。
しばらくすると、西から立ち昇るようなオーロラが見えて撮影すると画面にはエメラルドグリーンに写っていた。オーロラは次第に増えているが、薄雲越しに見るオーロラは、すりガラス越しに見ているようで詳細が見えず納得がいかない。このまま満足することなく帰国するのかと思うと正直焦った。帰りのバスに乗る20分前になったころ、その時は突然やってきた。
急に真上の雲がなくなり、一筋のオーロラが現れた。東側では渦を巻いているのが分かる。すると、みるみる広がり始め、真上には幾重にも重なったオーロラのカーテンが揺れている。まるでロウソクの炎がゆらめくように。オーロラは淡いエメラルドグリーンで、特に濃い部分は乳白色に輝いている。
夢中になって撮影した。すでに手の指先は冷えきっており、感覚がなくなってきていた。感動と指先の痛みで複雑な思いのなか、目の前を北極キツネがすたすた歩いていった…。オーロラの活動が一段落し、帰りのバスに乗る準備をしていたとき、印象的なカーテン状のオーロラが北の空に現れた。
帰りの飛行機では除雪作業が2回あったが、ほぼ予定どおり。
機体トラブルなどで帰国できず、バンクーバーで1泊…を期待(その時のために、行く場所も決めていた)していたが、何事も起こらなかった。
5夜で計30時間のうち満足したのは、わずか20分間。こんなに天気が悪いのは、世界規模の異常気象の一端だろうと思う。自然が相手なので仕方がない。極寒地での撮影法など経験値は確実に上がっている。またオーロラに会いに行こう。(すでに行く気になっている)
(星空案内人 Jz)
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