夜空を見上げて

2012オーロラ旅 その5


 最終日のオーロラは、元気がありませんでした。前夜、大きなブレイクアップが観測された後だけに、異様なほど静かに感じました。時折、東西にかかる大きな帯が出ましたが、肉眼ではエメラルドグリーンがほとんど分かりません。雲も多く、ほとんどの人は雲とオーロラの見分けがつかないんじゃないだろうか、と思えるような状況が何時間たっても変わりませんでした。雲は次第に増え、空を覆い尽くしていきます。それでも、わずかな雲間から見えるオーロラを探し、観ていました。もっともっと、いつまでも観ていたかったのですが「終わりの時間」が近づいていました。午前4時には空港へ向かうバスが迎えに来ます。名残は尽きないけれど…。午前1時30分には最後の観測を終えました。

 ホテルに戻り、急いでシャワーを浴びてから帰国の準備を始めました。今回撮影したオーロラ写真は全部で3156枚。予定していた1万枚の3分の1以下でした。でも、頑張ってくれた大切な写真機材です。そんな機材や防寒着に改めて感謝しながら、ひとつひとつ、いたわるようにパッキングし、リュックとスーツケースに詰めていきました。
これはなかなか難しい作業でもありました。なぜなら、イエローナイフ空港はカナダで最もセキュリティーチェックが厳しいといわれるからです。以前、リュック内の機材をすべて出して検査を受けたことがあったので、それを前提に詰めないといけないのです。早めに部屋をチェックアウトし、ホテルの外で空港へ向かうバスを待ちました。まだ明けない真っ暗な街を見ながら、この旅の余韻を楽しみました。

 イエローナイフを午前6時に発ち、カルガリー、バンクーバーと乗り継ぎました。バンクーバーから成田に向かう飛行機に乗ったとき、ポケットに30カナダドル(約2400円)ほど残っていました。これは両替しないでそのまま取っておくつもり。いつの日か、またこの地に来たときに使うのです。また来られるかどうかは分かりませんが、そうやって自分なりに「イエローナイフに行かなければならない理由」を作っているのです。

 最近、太陽活動の異常についてよく報じられます。2012年は太陽活動のピークだそうですが、このピークが過ぎると極小期に入る可能性もあるのだとか。過去、極小期にはオーロラ観測の記録がほとんどないそうです。今回、会社や家族に無理を言ってこの旅を決行した理由には、こうした事情もありました。つまり、太陽活動のピークが終わる2017年あたりまでが、オーロラを観るチャンスだと思っています。 「それまでにもう一度!」。
と、実はひそかに計画してる。ここで言ってしまうと「ひそか」じゃなくなるけれど……。(30カナダドル使わないといけないし)。

 (星空案内人 Jz)

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