栗林慧 虫の目図鑑

ハエトリグモ 巣を張らずに獲物を狙う

2016年04月19日 13:19

糸を引きながら葉から葉へ飛び移る瞬間(しゅんかん)。この糸は道しるべといのち綱の両方の役割(やくわり)をしていると思われる。シャッタースピード2万分の1秒で撮影(さつえい)
糸を引きながら葉から葉へ飛び移る瞬間(しゅんかん)。この糸は道しるべといのち綱の両方の役割(やくわり)をしていると思われる。シャッタースピード2万分の1秒で撮影(さつえい)
ツツジの花の中で羽アリを捕まえて食べている。頭の上には大小8個(こ)の目があり、周りを見ることができるようになっている
ツツジの花の中で羽アリを捕まえて食べている。頭の上には大小8個(こ)の目があり、周りを見ることができるようになっている
隠(かく)れ家(が)で休んでいるところ。糸を張らないハエトリグモも、このときばかりは糸を使って、引き寄(よ)せた葉が動かないように固定している
隠(かく)れ家(が)で休んでいるところ。糸を張らないハエトリグモも、このときばかりは糸を使って、引き寄(よ)せた葉が動かないように固定している
 クモの仲間には巣を張(は)るクモと張らないクモがいます。このハエトリグモは巣を張らない方のクモで、地上から木の上にいたるまで、いろいろな場所を歩き回って獲物(えもの)を探(さが)しています。

 巣を張るクモの方は空中に巣を張って、そこに飛んできて引っかかった獲物を捕(つか)まえて食べるのですが、巣を張らないハエトリグモのようなクモは、いつも自分で歩き回って獲物を探します。

 獲物を見つけると、少し離(はな)れた場所から観察しています。相手が自分より弱そうなことが分かると、数センチ離れた距離(きょり)を一気にジャンプして飛びつきます。しかし、相手が強そうだと分かると、諦(あきら)めて逃(に)げて行ってしまいます。

 葉から葉へ、枝(えだ)から枝へと1センチにも満たない小さいクモが、ときには10センチ以上もジャンプをして飛び移(うつ)るのです。失敗したら落ちてしまうと思っていたら、写真を写してみて分かったことなのですが、どんなときにも尾端(びたん)から糸を出して、それを必ずその場にくっつけてからジャンプしていたのです。この糸がいのち綱(づな)となっていて、もし失敗しても空中にブランとぶら下がり、決して墜落(ついらく)してしまうことはないのです。

 ところで、クモは虫と呼(よ)ばれても正確(せいかく)には昆虫(こんちゅう)ではありません。クモ類と呼ばれる別の生き物なのです。


=2016/04/19付 西日本新聞朝刊=

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