栗林慧 虫の目図鑑

オオゴマダラ 金色のサナギから飛び立つ

2015年12月15日 11:12

木の枝(えだ)にぶら下がって輝く、金メッキされたようなサナギ。この色は羽化(うか)したあとの抜(ぬ)け殻(がら)には残らない。死んだときにも消えてしまう
木の枝(えだ)にぶら下がって輝く、金メッキされたようなサナギ。この色は羽化(うか)したあとの抜(ぬ)け殻(がら)には残らない。死んだときにも消えてしまう
 日本国内では、沖縄(おきなわ)より南の方の島々に生息しているチョウです。しかし、沖縄まで行かなくても全国の動物園や植物園などの大温室には必ずといってよいほど、このチョウが飼育(しいく)されていて、一年中優雅(ゆうが)に飛び回っている姿(すがた)を見ることができます。

 現地(げんち)では、白地に黒のもようが美しいこの大きなチョウが林の中を飛んでいるときに、そのからだに木漏(こも)れ日が当たった瞬間(しゅんかん)を見上げたりすると、はっとなって思わずその美しさに心を奪(うば)われてしまいます。

朝早い時間に羽化しているところ。金色のサナギの色はこの時点で消えてしまっている
朝早い時間に羽化しているところ。金色のサナギの色はこの時点で消えてしまっている
 冬の沖縄地方は、南国とはいっても天気が悪い日はそれなりに寒く、昆虫(こんちゅう)の姿を見ることはほとんどありません。ところが、天気がよく風もない穏(おだ)やかな日には、早々と咲(さ)いているカンヒザクラやツワブキの花にこのチョウが飛んできて蜜(みつ)を吸(す)っている姿を見ることができます。

 マダラチョウの仲間では、日本全国に生息しているアサギマダラが何千キロも旅をすることで知られています。ですが、このオオゴマダラにはそのような習性(しゅうせい)はなく、どちらかといえば南国の明るいジャングルの中でひっそりと生きているイメージがあります。

冬の西表島(いりおもてじま)。畑の隅(すみ)に咲いているダイコンの花で蜜を吸っている成虫
冬の西表島(いりおもてじま)。畑の隅(すみ)に咲いているダイコンの花で蜜を吸っている成虫
 幼虫(ようちゅう)は、毒のある植物をたべるので、その毒がからだに蓄積(ちくせき)して、敵(てき)の鳥から身を守ることができるといわれています。そのためなのかどうか、サナギもまるで金メッキをされたように黄金色(こがねいろ)に輝(かがや)く目立つ色をしています。


=2015/12/15付 西日本新聞朝刊=

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