栗林慧 虫の目図鑑

さまざまな飛び方 2 胴体をぶら下げた格好で

2015年09月15日 11:29

【ゴマダラカミキリ】甲虫類(こうちゅうるい)の代表的な飛び方。体の角度を水平にせず、この格好でまっすぐこちらに向かって飛んできているところ。脚をいっぱいに開いているのは、早々ととまる準備(じゅんび)をしているのかもしれない
【ゴマダラカミキリ】甲虫類(こうちゅうるい)の代表的な飛び方。体の角度を水平にせず、この格好でまっすぐこちらに向かって飛んできているところ。脚をいっぱいに開いているのは、早々ととまる準備(じゅんび)をしているのかもしれない
 昆虫(こんちゅう)のさまざまな飛び方について前回、体を水平にして飛行機のような飛び方をする代表的なトンボとチョウとハチを紹介(しょうかい)しました。

 今回、羽をほぼ水平に近い角度で羽ばたいて、ヘリコプターのように胴体(どうたい)をつり下げたような格好(かっこう)で飛行する昆虫を紹介します。

【コイチャコガネ】右から左へ向かって飛行しているところ。この体の格好のまま水平に飛んでいる
【コイチャコガネ】右から左へ向かって飛行しているところ。この体の格好のまま水平に飛んでいる
 正確(せいかく)には、胴体をぶら下げるといっても、ヘリコプターそのもののように羽の下に胴体をつけているのではありません。通常(つうじょう)安定して飛行しているときは、胸(むね)の部分に付いている羽が水平に近い角度で動かされて、その下の重い腹部(ふくぶ)をぶら下げる形で飛んでいるのです。

 この飛び方を代表するのはカブトムシなどの甲虫類(こうちゅうるい)です。飛ぶ姿(すがた)を見ると、トンボのようにからだが水平になって一直線に飛んでいる姿とは異(こと)なることが一目で分かります。

【ナナホシテントウ】いつもは前羽の下に折りたたんでいる薄(うす)い後ろ羽をいっぱいに広げ、1秒間に数十回羽ばたいて飛ぶ。後ろ羽が大きいことがよく分かる
【ナナホシテントウ】いつもは前羽の下に折りたたんでいる薄(うす)い後ろ羽をいっぱいに広げ、1秒間に数十回羽ばたいて飛ぶ。後ろ羽が大きいことがよく分かる
 このような飛び方をする昆虫は、スピードを出せないし、その格好も6本ある脚(あし)の全部をいっぱいに開いて飛んでいて、どう見ても飛ぶことがあまり得意でない感じがします。

 飛ばなくてはならない理由というのは、(1)逃(に)げること(2)餌(えさ)を探(さが)すこと(3)異性(いせい)に出会うこと(4)場所を移動(いどう)すること-などが主に考えられます。しかし、歩くのが得意な昆虫ですから、餌が身近にあるなどの条件(じょうけん)が整えば、あまり飛ぶ必要はないのでしょう。これらの昆虫の仲間には、もともとあった羽を捨(す)てて歩くことだけに進化した、アリやツチハンミョウなどのような昆虫もたくさんいます。


=2015/09/15付 西日本新聞朝刊=

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