栗林慧 虫の目図鑑

さまざまな飛び方 上下前後左右に自由自在

2015年08月18日 14:25

ウスバキトンボ キバナコスモスの花をかすめるように飛んでいるところ。4枚(まい)の羽を自在に操(あやつ)り、上下前後左右と、あらゆる飛行が可能(かのう)
ウスバキトンボ キバナコスモスの花をかすめるように飛んでいるところ。4枚(まい)の羽を自在に操(あやつ)り、上下前後左右と、あらゆる飛行が可能(かのう)
 昆虫(こんちゅう)は空中を自在(じざい)に飛ぶことができますが、飛んでいるときにみんな同じ格好(かっこう)をしているのかというと、そうではありません。

 人間が作った飛行機のように直線的に飛ぶものもいれば、ヘリコプターのように前後左右に自在に飛ぶものもいます。

 飛行機のような飛び方、つまり胴体(どうたい)を水平にしておもに直線的な飛び方をするのがハチ、アブ、トンボ、チョウ、ガなど飛ぶことを最も得意とする昆虫です。

ミツバチ 飛行中に向きを変えた瞬間(しゅんかん)。1秒間に200回以上羽ばたく羽をひねって、飛んでいく方向をコントロールしているのが分かる
ミツバチ 飛行中に向きを変えた瞬間(しゅんかん)。1秒間に200回以上羽ばたく羽をひねって、飛んでいく方向をコントロールしているのが分かる
 これらの昆虫がスピードを出して飛んでいるときは、空気抵抗(ていこう)を少なくするために6本の脚(あし)を胴体に沿(そ)うように縮(ちぢ)めています。ところが、とまる直前や花の周りを飛び回るときなどには、すぐとまることができるように伸(の)ばしていることが分かります。

 中でも、トンボは飛行の名人です。まっすぐ飛んでいるかと思えば突然(とつぜん)、上下左右に向きを変えたり、そのまましばらく空中に静止したり、バックしたり、宙返(ちゅうがえ)りをしたりと、自由自在に空中を飛び回ります。食べる餌(えさ)さえも空中で捕(と)っている、まさに「空中の王者」といってもよい昆虫です。

クロセセリ 小形のチョウ。猛(もう)スピードで飛行している瞬間を2万分の1秒の露出(ろしゅつ)時間で撮影(さつえい)した。格納(かくのう)している脚の様子がよく分かる
クロセセリ 小形のチョウ。猛(もう)スピードで飛行している瞬間を2万分の1秒の露出(ろしゅつ)時間で撮影(さつえい)した。格納(かくのう)している脚の様子がよく分かる
 そんな中に、羽があるにもかかわらず、あまり飛ばなかったり、もう飛ぶ必要がなくなったと考えたのか、羽を無くしてしまったりした昆虫もたくさんいます。

 次回(9月15日)は、もう一方のヘリコプター型の飛び方をする昆虫を紹介(しょうかい)することにしましょう。


=2015/08/18付 西日本新聞朝刊=

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