栗林慧 虫の目図鑑

ヒゲコメツキ ピーンとはねて起き上がる

2015年05月19日 14:38

飛び立っていく姿(すがた)を1秒間に25回発光するストロボライトを用いて撮影(さつえい)した。飛び立った直後、少しずつ向きを変えていく様子が分かる
飛び立っていく姿(すがた)を1秒間に25回発光するストロボライトを用いて撮影(さつえい)した。飛び立った直後、少しずつ向きを変えていく様子が分かる
オスの頭にあるくしひげ状の大きな触角。メスが放つフェロモンの匂いを効率(こうりつ)よくかぎ取るために複雑(ふくざつ)な構造(こうぞう)をしている
オスの頭にあるくしひげ状の大きな触角。メスが放つフェロモンの匂いを効率(こうりつ)よくかぎ取るために複雑(ふくざつ)な構造(こうぞう)をしている
 子どもの頃(ころ)からなじみ深い昆虫(こんちゅう)は数多くいますが、コメツキムシもその中の一つです。

 なんといっても、その跳(と)びはねる動作に特徴(とくちょう)があり印象的(いんしょうてき)だからです。捕(つか)まえて石の上などに裏返(うらがえ)しにして置くと、ピーンとはねて起き上がる動作がおもしろく、よく相手にして遊んだものでした。

 コメツキという名前そのものが、水車を利用してコットンコットンと米を突(つ)いていた昔の機械の感じに似(に)ているので付けられたといわれています。コメツキムシの仲間は日本に600種類もいるといわれていますが、こんなに立派(りっぱ)なひげ(触角(しょっかく))をもっているのは、ここに見るヒゲコメツキだけのようです。

 この写真のひげはオスで、メスのはこんなに派手(はで)なくしひげ状(じょう)ではなく、ノコギリのようにギザギザした棒(ぼう)状の細長い形をしています。オスのひげだけがなぜこんなになっているのでしょう。それは、メスがオスを呼(よ)ぶためにフェロモンと呼ばれる特別な匂(にお)いを空中に放出するので、オスはそのわずかな匂いを遠くにいても感じ取ることができるようにするためだといわれています。

 この昆虫の特徴である跳びはねる動作は、そのときの「ピーン」という音とともに、敵(てき)である鳥のような動物をびっくりさせる効果(こうか)があるともいわれています。

 この虫をいざ見つけようと思っても、なかなか見つかるものではありません。しかし、夜明かりに誘(さそ)われて飛んで来て、壁(かべ)にとまって休んでいるのをよく見かけます。


=2015/05/19付 西日本新聞朝刊=

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