栗林慧 虫の目図鑑

顔さまざま 生命って不思議だ

2014年11月18日 13:52

ミノムシの成虫、オオミノガ。立派(りっぱ)な触角(しょっかく)を持つオス。この触角を使ってメスが出す性(せい)フェロモンを感じ取る
ミノムシの成虫、オオミノガ。立派(りっぱ)な触角(しょっかく)を持つオス。この触角を使ってメスが出す性(せい)フェロモンを感じ取る
 昆虫(こんちゅう)は動物界で最も多様性(たようせい)に富(と)んだ生き物ですから、それぞれの姿(すがた)や形もさることながら行動や習性(しゅうせい)も変化に富んでいます。私(わたし)のように、その一瞬(いっしゅん)一瞬を写真に撮(と)りたいと思う者にとっては飽(あ)きるところがありません。

 

ガの一種、セスジスズメのよう虫。目玉はからだの模様(もよう)で、本物の目は画面下の丸い頭の下側左右にゴマつぶのようについている。目玉模様は天敵(てんてき)の鳥から身を守るのに役立つ
ガの一種、セスジスズメのよう虫。目玉はからだの模様(もよう)で、本物の目は画面下の丸い頭の下側左右にゴマつぶのようについている。目玉模様は天敵(てんてき)の鳥から身を守るのに役立つ
 

 

 今回は、そのような昆虫の変化に富んだ顔のいくつかを紹介(しょうかい)しましょう。興味深(きょうみぶか)いのは種類によって異(こと)なるその顔つきですが、すべてが硬(かた)い外骨格(がいこっかく)でできているために、人間やほかの多くの動物のように目の瞬(まばた)きやうれしいとか悲しいなどの表情(ひょうじょう)の変化をつくることができません。顔の中で動かすことができるのは、ものを食べる口元と触角(しょっかく)の2カ所だけで、多くの種類は首を回すことすらできません。

 

アブの一種。頭全体が目といってもよい。何千もの目が集まった複眼。にじ色の模様(もよう)が美しい
アブの一種。頭全体が目といってもよい。何千もの目が集まった複眼。にじ色の模様(もよう)が美しい
 

 

 昆虫の目の多くは単独(たんどく)の眼球(がんきゅう)ではなく、いわば小さい目が寄(よ)り集まって一つの目の形になった複眼(ふくがん)です。それが半球形で出っ張(ぱ)っているので、わざわざ首を回さなくてもかなり後ろの方まで見渡(みわた)すことができるようです。それでも、中には他の昆虫を捕(つか)まえて食べるトンボやカマキリのように真後ろまで顔を回して獲物(えもの)を探(さが)すものもいます。

シロスジカミキリ。この顔の中で動くのは口と頭上にある触角(しょっかく)だけ
シロスジカミキリ。この顔の中で動くのは口と頭上にある触角(しょっかく)だけ
 

 

 

 昆虫の顔といえば、その形(表情)のおもしろさから、子どもに人気の仮面(かめん)ライダーやSF映画(えいが)の怪獣(かいじゅう)のモデルになることも多いようです。昆虫はその生活史と相まって、これからもわれわれ人間に神秘(しんぴ)と不思議さを提供(ていきょう)してくれる生き物であり続ける存在(そんざい)といってよいでしょう。

エゴヒゲナガゾウムシ。この顔立ちから別名ウシズラヒゲナガゾウムシともよばれる
エゴヒゲナガゾウムシ。この顔立ちから別名ウシズラヒゲナガゾウムシともよばれる
 

 

 

 

 

 

 

シャチホコというガの一種。姿や形、色さいも地味だが、その顔は意外と愛らしい
シャチホコというガの一種。姿や形、色さいも地味だが、その顔は意外と愛らしい
 

=2014/11/18付 西日本新聞朝刊=

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