栗林慧 虫の目図鑑

ヒメボタル 忙しく光り続ける

2014年06月17日 13:54

竹などがしげる林の中、下草の上を数百匹(ぴき)のオスが光りながら飛び回っている。この中でメスは葉先などにとまり、光りの信号をオスたちに送る
竹などがしげる林の中、下草の上を数百匹(ぴき)のオスが光りながら飛び回っている。この中でメスは葉先などにとまり、光りの信号をオスたちに送る
 ホタルは世界中に2千種類もいるといわれていますが、日本にはその中の約40種類がすんでいます。40種類と聞いて、「えっ! あのホタルがそんなにいるの」と驚(おどろ)く人が多いと思いますが、実はホタルの特徴(とくちょう)であるあの光を発する種類は10種類もいなくて、ホタルの仲間でありながら、他の昆虫(こんちゅう)と同じく、光らず昼間活動しているものが多いのです。

葉の上にとまって光るオス
葉の上にとまって光るオス
 光るホタルで代表はなんといってもゲンジボタルですが、ここで紹介(しょうかい)するホタルはヒメボタルです。その名で感じられる通り、体長はゲンジボタルよりずっと小さく、ゲンジボタルの約15ミリに比(くら)べてその半分の約7ミリしかありません。光り方も異(こと)なり、ゲンジボタルのようなピカーッ、ピカーッと2秒間隔(かんかく)で光る光ではなく、ピカッ、ピカッと0・5秒間隔で忙(いそが)しく光り続けます。その情景(じょうけい)はまさにクリスマスのイルミネーションのごときで、ゲンジボタルとは違った独特(どくとく)の趣(おもむき)があります。

メスのすがた。後ろ羽が退化(たいか)していて飛ぶことができない。暗くなり、落ち葉の中で目を覚ますと、近くの棒(ぼう)や草葉の上に登り、周りを飛ぶオスたちに光の信号を送る
メスのすがた。後ろ羽が退化(たいか)していて飛ぶことができない。暗くなり、落ち葉の中で目を覚ますと、近くの棒(ぼう)や草葉の上に登り、周りを飛ぶオスたちに光の信号を送る
 すんでいる場所も異なり、ゲンジボタルは必ず川が流れているところですが、ヒメボタルは川には関係のない山の中です。九州には全土にいるものの、山の中ならどこにでもいるわけではありません。私(わたし)がこれまでにたくさん見た場所は、杉(すぎ)の林や竹林で、特に杉林の中で多く見られました。ヒメボタルのメスは飛ぶための後ろ羽が無いので飛ぶことができず、そのためにその場所から移動(いどう)することができません。独特の光の乱舞(らんぶ)は山の中でも、狭(せま)い範囲(はんい)でしか観察することができないのです。

=2014/06/17付 西日本新聞朝刊=

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