栗林慧 虫の目図鑑

ハンミョウ 美しさなら国内ピカイチ

2014年04月15日 14:28

里山の小さな神社の境内で、神社に向かって拝(おが)んでいるかのようなたたずまいは、生息地の保存(ほぞん)を訴(うった)えているかのようにも見える
里山の小さな神社の境内で、神社に向かって拝(おが)んでいるかのようなたたずまいは、生息地の保存(ほぞん)を訴(うった)えているかのようにも見える
 土の上を走り回るハンミョウは、2センチほどの大きさの昆虫なので、通常(つうじょう)目に届(とど)く3メートル以上の距離(きょり)から見たかぎりでは目立ちません。しかし、身近に見ることができれば、その色合いの美しさにだれでも驚(おどろ)くに違(ちが)いありません。

幼虫(ようちゅう)は地中に巣を作ってすみ、地上すれすれに頭を出して獲物(えもの)を待つ。通りかかったアリめがけて飛びかかった瞬間(しゅんかん)。一瞬の出来事で、アリが突然(とつぜん)その場から消えてしまった感じがする。2万分の1秒のシャッタースピードでかろうじてキャッチできた
幼虫(ようちゅう)は地中に巣を作ってすみ、地上すれすれに頭を出して獲物(えもの)を待つ。通りかかったアリめがけて飛びかかった瞬間(しゅんかん)。一瞬の出来事で、アリが突然(とつぜん)その場から消えてしまった感じがする。2万分の1秒のシャッタースピードでかろうじてキャッチできた
 日本は昆虫の種類こそ多いものの、南方に多く見られる鮮(あざ)やかな色合いのものは多くありません。そんな中にあって、ハンミョウの美しさはピカイチといってもよいでしょう。

 別名ミチオシエ(道教え)とも呼(よ)ばれて、人が山道を歩いていると、足元から飛び立ったハンミョウが数メートル先に着地し、近づいていくと、また先の方に飛んで(逃(に)げて)着地する。それを繰(く)り返しながら、あたかも行く先を教えているように見えるので、こんな名前が付けられたのでしょう。

飛行中の姿(すがた)。通常は長い脚(あし)を使ってすばしこく走り回っているが、飛ぶことも得意
飛行中の姿(すがた)。通常は長い脚(あし)を使ってすばしこく走り回っているが、飛ぶことも得意
 山道に限(かぎ)らず、踏(ふ)み固められた土がある農家の庭や神社の境内(けいだい)など、そんな場所があれば、だいたいどこにでもいるといってもよいほど普通(ふつう)の昆虫だったのですが、現代(げんだい)のように津々浦々(つづうらうら)まで地面が舗装(ほそう)された環境(かんきょう)の中では、生きていくことができずに、その数がずっと減(へ)ってしまって、かろうじて生きているといってもよいくらいなのです。

 ちなみに、ハンミョウとは漢字で斑猫(はんみょう)と書きます。地上をすばしこくさっさっと走り回る様子が、まるで猫(ねこ)のように見えるので、付けられたのではないかと思われます。


=2014/04/15付 西日本新聞朝刊=

バックナンバー

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]