栗林慧 虫の目図鑑

コハナバチ 飛び回り果実を実らせる

2013年12月17日 13:45

地表から深さ約10センチのところにある巣の一つ。壁(かべ)にロウをぬって防水(ぼうすい)した部屋の中に、花から集めてきた花粉と蜜を用いて団子を作り、その団子の上に、白い卵(たまご)が1個(こ)産みつけてある。右側の入り口はすでに土で閉(と)じてある。一つの巣にこのような部屋を10個ほど作る
地表から深さ約10センチのところにある巣の一つ。壁(かべ)にロウをぬって防水(ぼうすい)した部屋の中に、花から集めてきた花粉と蜜を用いて団子を作り、その団子の上に、白い卵(たまご)が1個(こ)産みつけてある。右側の入り口はすでに土で閉(と)じてある。一つの巣にこのような部屋を10個ほど作る
 コハナバチは、その名のとおり、からだが小さいハナバチの仲間で、ミツバチたちと一緒(いっしょ)に花の蜜(みつ)をとりに来ているところをよく見かけます。

 このコハナバチだけでも日本に100種類近くもいて、写真で見ただけでは何という名前のコハナバチなのか、はっきり知ることはできません。本来はこのようにたくさんいることになっているコハナバチも、最近はその数がずいぶん少なくなっている気がします。その原因(げんいん)は、ハチたちが巣を作る場所が少なくなっているのが最大の原因と思われます。

住宅地(じゅうたくち)にある道路際(ぎわ)の左側の土手の斜面(しゃめん)が集団営巣(しゅうだんえいそう)地。数え切れないほどの巣穴(すあな)が開いていて、大勢(おおぜい)のハチが出入りしている
住宅地(じゅうたくち)にある道路際(ぎわ)の左側の土手の斜面(しゃめん)が集団営巣(しゅうだんえいそう)地。数え切れないほどの巣穴(すあな)が開いていて、大勢(おおぜい)のハチが出入りしている
 コハナバチは多くの種類が土中に巣を作るために、現代(げんだい)のようにほとんどの道路や空き地、家の庭などがコンクリートやアスファルトなどで舗装(ほそう)されてしまった状態(じょうたい)では、巣を作ることができなくなってしまうからです。小さいハチがいなくなってしまったからといって、私(わたし)たち人間にとってなんのことはないと思われがちですが、実はミツバチと同じように、花から花に飛び回って花粉媒介(ばいかい)をして、果実を実らせるという大変大切な役目をしています。

集めた花粉を後ろ足の毛に付けて戻(もど)ってきたところ。自分の巣を探(さが)している
集めた花粉を後ろ足の毛に付けて戻(もど)ってきたところ。自分の巣を探(さが)している
 もし皆(みな)さんの家の庭に植えてある果実の実りが悪くなったり、全くならなくなってしまったら、もしかしたら、このコハナバチをはじめ、花の蜜を求めてやってくる昆虫(こんちゅう)たちが少なくなってしまったことが原因かもしれません。



=2013/12/17付 西日本新聞朝刊=

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