栗林慧 虫の目図鑑

ゲンジボタル 卵のときからチカチカ光る

2013年11月19日 15:10

水辺を飛びながら光るオスたちに向かい、草の葉にとまって光の合図を送るメス
水辺を飛びながら光るオスたちに向かい、草の葉にとまって光の合図を送るメス
 世界に2千種類もいるといわれているホタルですが、日本には約40種類がすんでいます。その中でも昔からよく知られているのがゲンジボタルとヘイケボタルです。

 ゲンジボタルはまさにその代表格(だいひょうかく)。からだも大きく、光りながら群(む)れて飛ぶ情景(じょうけい)を一度でも見た人は、終生忘(わす)れることのできない印象を植え付けられてしまうといってもいいでしょう。

岸辺の土の中で発光するさなぎ
岸辺の土の中で発光するさなぎ
 ゲンジボタルとヘイケボタルの特徴(とくちょう)は、幼虫(ようちゅう)時代を水中で過ごすことです。他の種類のホタルのほとんどが水とは関係のない陸地で一生を過ごし、光らずに昼間飛ぶものもたくさんいます。

 闇(やみ)の中で光る行動は、実はオスとメスとが出会うためのコミュニケーションなのです。先に生まれて光りながら空中を乱舞(らんぶ)するオスたちに、後から生まれたメスが葉の上にとまり光の合図を送る。それをいち早く見つけたオスがメスのところへ飛んでいき交尾(こうび)します。

 ホタルは体の中の化学反応(はんのう)で光り、その光は全く熱を出さない「冷光(れいこう)」といわれるものです。その仕組みはすでに卵(たまご)のときから備(そな)わっています。卵は水辺のコケの中に、まるで「めんたいこ」をばらまいたように、産みつけられます。暗闇(くらやみ)の中で目をこらすと、チカチカ光っている卵を見ることができます。幼虫になっても光り、土に潜(もぐ)ってさなぎになって、じっとしている間も時々光っています。

 ホタルは、はるか昔から多くの人々に親しまれてきた昆虫(こんちゅう)ですが、現代文明の中で、その数が徐々(じょじょ)に少なくなっているのは残念でなりません。


=2013/06/18付 西日本新聞朝刊=

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