紙面から

【NIE・新聞で学ぼう 】英語ディベートに挑戦 鹿児島市城西中

2016年03月01日 16:13

昨年秋の文化祭で発表された英語ディベート
昨年秋の文化祭で発表された英語ディベート
 ●英字紙で視野を広く 社説の論理展開を参考に 世界に意見発信を
 鹿児島(かごしま)県のNIEアドバイザーとして活動している鹿児島市の城西(じょうせい)中の社会科教諭(きょうゆ)の福丸恭伸(ふくまるやすのぶ)先生(57)は、新聞を活用したディベートの授業(じゅぎょう)に取り組んできた。本年度は、初の試みとして、英語の新聞も使った英語ディベートを取り入れ、英語、社会、国語と、教科横断(おうだん)型の授業に挑戦(ちょうせん)。意欲的(いよくてき)な授業の試みについて話を聞いた。

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 ▼難しい単語使い

 授業の成果の一部として、昨年秋の文化祭で発表された英語ディベートのビデオを見せてもらった。

 テーマは、原発が必要かどうか。代表の4人の生徒が、存続派(そんぞくは)と廃止(はいし)派に分かれて議論(ぎろん)した。「NPP(原発)」や、「radioactivity(放射能(ほうしゃのう))」など、中学で習うよりも難(むずか)しい単語を使っている。

 英語で本物のディベートを行うのはさすがにハードルが高いため、福丸先生が台本を書き、英語のせりふと日本語訳(やく)をスライドで映(うつ)した。それでも、中2の生徒にしては、堂々とした発表ぶりだった。

 参加した生徒の迫田夏生(さこだないき)さん(14)は「英語で発表したことを母にびっくりされた」、塩田晃士郎(しおたこうしろう)さん(14)は「もっとまじめに英語に取り組もうと思った」。若松天地(わかまつてんち)さん(14)は「先生は資料(しりょう)をたくさん集めてくれた」などと、楽しそうに授業の思い出を振(ふ)り返った。

 ▼新聞活用の利点

 英語ディベートの授業は、「総合的(そうごうてき)な学習の時間」を使って、昨年秋の15時間、中2の24人を対象に行われた。

 夏休み前に全国紙や、英語の新聞、地方紙の社説を基(もと)にまとめた原発賛成(さんせい)派と反対(はんたい)派の理由を日英の両言語で配布(はいふ)。授業が始まると、アメリカのディベート大会のビデオを見せ、議論の仕方を教えた。その後、賛成派と反対派を分けて、自分たちが主張(しゅちょう)したい理由を選ばせ、台本の基にしたという。

 福丸先生は、約20年前にディベートの可能性(かのうせい)に着目し、5年前から新聞を活用した授業を実践(じっせん)してきた。新聞には、(1)社説の論理(ろんり)展開(てんかい)の仕方はディベートでも生かせる(2)情報源(じょうほうげん)の信頼性(しんらいせい)が高い(3)グラフなどの資料がある-などの利点があるためだという。数年前のディベートの授業では、ネットの不確(ふたし)かな情報を根拠(こんきょ)に挙げた生徒がいたため、特に今回は新聞の社説を活用したそうだ。

 英語の新聞も取り入れた理由は「NIE関連の学会に参加し、英語新聞を使った実践事例を知り刺激(しげき)を受けた」と話す。また、情報源が日本語以外にも広がり、(1)広い視野(しや)の獲得(かくとく)にもつながる(2)将来的(しょうらいてき)には世界に意見を発信するため-などの期待もあったという。

 ▼関心が高まった

 だが、福丸先生は、学生時代に英会話部に所属(しょぞく)したことはあるとはいえ、本来は社会科の先生だ。

 この授業のための準備(じゅんび)は苦労の連続だった。まず、この1、2年間スクラップしておいた原発関連の英語の社説を、辞書を使いながら和訳(わやく)。中2でも分かるように、簡単(かんたん)な英文にするなど工夫もした。文化祭の発表前には、英語教諭に発音指導(しどう)を仰(あお)ぐなどの協力も受けたという。

 文化祭の舞台(ぶたい)に上った冨重雄斗(とみしげゆうと)さん(13)は「先生の作ってくれたスライドの更新(こうしん)時間を見たら、午前5時になっていたのでびっくりした」と、先生の苦労を思いやる。

 そのかいもあって授業後のアンケートでは、「英会話に自信が持てた」「環境(かんきょう)問題に関心が持てた」など良い反応(はんのう)があったという。福丸先生は「英語、国語、社会の分野が絡(から)むディベートだったが、NIEを軸(じく)にして教科横断型の授業の可能性を示(しめ)せたのではないか」と話した。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼ディベート あるテーマについて肯定側(こうていがわ)と否定(ひてい)側に分かれて行う討論(とうろん)。決められた時間や、ルールに沿(そ)って行われ、ジャッジが勝ち負けを判定(はんてい)することもある。NIE(教育に新聞を)では、意見が分かれる時事問題について、新聞各紙を読み比(くら)べさせて討論の材料とする、などの方法がとられている。

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=2016/02/24付 西日本新聞朝刊=

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