紙面から

【こども記者】手づくりで島に花公園 福岡市・のこのしまアイランドパーク

2015年08月05日 17:52

お花畑にはマリーゴールドが咲いていた。海をはさんで見えるのは志賀島(しかのしま)
お花畑にはマリーゴールドが咲いていた。海をはさんで見えるのは志賀島(しかのしま)
 ●福岡市・のこのしまアイランドパーク

 福岡(ふくおか)市西(にし)区の博多湾(はかたわん)にうかぶ能古島(のこのしま)を知っていますか。ヤフオクドームや福岡タワーからも見えるよ。市街地に近いこの島に、地元の農家が手づくりした自然花公園「のこのしまアイランドパーク」があります。6月20日に取材しました。

【こども記者】手づくりで島に花公園 福岡市・のこのしまアイランドパーク 紙面はこちら

 福岡市西区の能古渡船場(とせんじょう)からフェリーで約10分。能古島におり立つと、潮(しお)のにおいがした。乗り換(か)えたバスは、坂道を上り、木々が両側にしげった細い道を通って、島の北端(ほくたん)にあるアイランドパークに着いた。

 園の広報担当(こうほうたんとう)の松藤朋美(まつふじともみ)さんが、まず「あじさい小径(こみち)」へ案内してくれた。約100メートルにわたって青や白、紫(むらさき)など色鮮(あざ)やかなアジサイの花がいっぱいだった。松藤さんによると「すべて人の手で植えられたもの」。園の人が手間ひまをかけてくれたおかげで、美しく育っているのだ。

 サクラやモミジの新緑を見ながら通路を進むと、大きな花畑が目の前に現(あらわ)れる。私(わたし)たちが行った時は、マリーゴールドが一面に咲(さ)いていた。なだらかな下り斜面(しゃめん)なので、黄色とオレンジの花畑と、その先に見える海が絵の具でぬったようにきれいだった。

    *    *

 私たちは、10年前に亡(な)くなった創業(そうぎょう)者の久保田耕作(くぼたこうさく)さんの妻(つま)、睦子(むつこ)さん(77)に話を聞いた。

 主にサツマイモを栽培(さいばい)していた耕作さんが、公園づくりを思い立ったのは19歳(さい)の時。視察(しさつ)した東京(とうきょう)と大阪(おおさか)の青果市場で規模(きぼ)の大きさに圧倒(あっとう)され「せまい能古島で農業を続けても、太刀打(たちう)ちできない」と思ったそうだ。そこで「福岡の都心に近いことと、美しい景観をいかした自然公園をつくろう」と決心したという。

 それ以来、耕作さんは夢(ゆめ)の実現(じつげん)に向けて、農業をしながら畑に一つ一つ花や木を植えた。23歳で睦子さんと結婚(けっこん)すると、夫婦(ふうふ)二人三脚(ににんさんきゃく)で作業を進め、46年前の1969年に開園にこぎつけた。しかし、当初は入園者が少なかった。

 「お金を払(はら)ってまで誰(だれ)が来るの?」「ジェットコースターを設置(せっち)すればいいのに」などと言われたが、耕作さんは信念を貫(つらぬ)いた。「都会で疲(つか)れた人の心をいやしてくれるのは自然。絶対(ぜったい)に来てくれるようになる」と。あえて機械の遊具は置かず、手づくりのブランコを作ったり、ウサギやヤギとふれあう場所をつくったりしてきた。次第(しだい)に入園者は増(ふ)え、今では年間に約15万人が来るようになった。

    *    *

 睦子さんは、どんなお客さんにも気さくに話しかけ、園内で甘夏(あまなつ)ジュースなどを売っていた。「苦労したことは何ですか」と聞くと「希望を感じていたので、苦労とは思わなかった」と睦子さん。「がんばっている人には、おてんとうさまが応援(おうえん)してくれるんだよ」と笑顔で話してくれた。

 園内には、昔の家々を移築(いちく)した「思ひ出通り」があり、大人も喜びそうな懐(なつ)かしい遊具を売る駄菓子屋(だがしや)さんもあった。ウサギの飼育(しいく)小屋でえさをやってみたら、ウサギが後ろをついてきて、とてもかわいかった。斜面を板に乗ってすべるロープスキーは、スピードがそこそこ出て、スリル満点だった。

 「ここは家族みんなで楽しんでいただく所。楽しいから『帰りたくない』と泣いてしまう子どもを見ると、うれしいですね」。睦子さんがしみじみと言った。



 ●わキャッタ!メモ

 ▼のこのしまアイランドパーク 面積は約15万平方メートル。春は菜の花やサクラ、夏はアジサイやヒマワリ、秋はコスモス、冬はスイセンなどが咲きほこる。ウサギやヤギがいる「ふれあい動物園」、明治から昭和初期の博多の古い街並(まちな)みを再現(さいげん)した「思ひ出通り」、アスレチックの施設(しせつ)、レストラン、宿泊(しゅくはく)施設などもある。入園料は高校生以上1000円、小中学生500円など。同園=092(881)2494。

    ×      ×

 ■取材

 ●福岡県久留米市・西国分小6年 大塚 沙弥記者

 ▼感想 こんなにたくさんの花を見られる自然公園はほかにはないと思う。手づくりだから気持ちがこもっていた。



 ●福岡県朝倉市・杷木中3年 高倉ゆり江記者

 ▼感想 のんびりとすごせる優(やさ)しい場所で、しっかりと愛情(あいじょう)を感じた。体にいい空気をたくさん吸(す)わせてもらった。



 ●福岡市・元岡中1年 高田向日葵記者

 ▼感想 たくさんの人にアイランドパークで自然の良さを感じてほしい。園の人は明るくがんばってもらいたい。



 ●福岡市・西高宮小5年 殿川 そら記者

 ▼感想 「帰りたくない」と泣いている小さな子どもの気持ちが、私にもよく分かった。とても楽しい公園だった。

【こども記者】手づくりで島に花公園 福岡市・のこのしまアイランドパーク 紙面はこちら


=2015/07/08付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]