紙面から

【こども記者】文章を書く 書きたい思いを、かざらずに

2015年05月01日 20:51

那須さん(おく右)と最相さん(同左)を取材するこども記者たち
那須さん(おく右)と最相さん(同左)を取材するこども記者たち
 文章を書くのは苦手という人は少なくないだろう。書くのは好きでも、文章に自信がある人はそういないんじゃないかな。そこで、「北九州(きたきゅうしゅう)市子どもノンフィクション文学賞」で選考委員をつとめるプロの作家さん3人に、どうすれば文章がうまくなるのか聞いた。

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 今回、取材に応(おう)じてくれたのは、「ズッコケ三人組」シリーズで知られる児童文学作家の那須正幹(なすまさもと)さん(72)、ノンフィクションライターの最相葉月(さいしょうはづき)さん(51)、イラストレーターで小説家などとしても活躍(かつやく)するリリー・フランキーさん(51)。3月にあった賞の表彰式(ひょうしょうしき)の合間に話を聞いた。

■テーマに出会えば文章にしたくなる

 作家は子どものころから書くことが好きだったのだろう。そう思っていたが、最相さんは、信じられないことにきらいだったという。那須さんも「小学校のころは本はほとんど読まず、外で遊んでばかりだった」。リリーさんは書くのが好きだったが、「(文章を書く仕事は)苦しいと思うことがほとんど」と話した。

 だったら、なぜ作家になったのか。最相さんは「自分が書きたいテーマに出合ったから。この人を書きたいとか、このなぞを解(と)き明かしたいとか。テーマに出合えば、書かずにはいられなくなる」と言い、リリーさんも「文章を書くことでしか表現(ひょうげん)できないことがありますからね」と言った。

■本を書き写したり手紙や日記で練習

 書く練習について、那須さんは(1)好きな作家の本をノートなどに書き写す(2)日ごろから手紙や日記を書く-ことをすすめ、「出来事を伝えることと、自分の心の中の思いを文章にすることが大切だよ」と話した。

 書き出しに苦労している、と伝えると、那須さんと最相さんは「プロ(の作家)でも難(むずか)しい」と口をそろえた。最相さんは「1行目で『何の話が始まるんだろう』と、ドキドキした感じで始まると、後を読みたくなる」と言いつつ、「(工夫(くふう)を)やりすぎないことも大事」と付け加えた。那須さんは「(子どものうちは)すなおに書きたいように書くのが一番」と言った。

 リリーさんが強調したのも、正直に自分をかざらないことだった。自分が子どものころ、鼻くそを集めていたことを例としてあげて、「はずかしい、ちょっと照れくさいことでも、かざらずに書くといい」と言った。子どもも、大人も、せっかくおもしろいことがあるのに、なかなか書かないらしい。

■何度も読み直そう 苦しむことも大切

 書きたいことがいっぱいあって、短くしなければならないときはどうするか。

 最初は文字数を気にせずに書いて、後で何を残し、何を捨(す)てるかを考えたらいいそうだ。那須さんは「最初は、どうしても、書きたい、書きたい、と頭に血が上っているけど、冷めてくると冷静に判断(はんだん)できるようになる」と話した。しめきりが迫(せま)っていなければ、1度書いてみて、1週間おいて読み直し、短くする「推敲(すいこう)」をしたらいいそうだ。

 読む人をあきさせない書き方も聞いてみた。最相さんは「自分が何を知りたくて、なぜ、取材したのかが分かっていれば、取材した順番に書いてはどうか。読む人もだんだん知っていく喜びがある」と話した。

 リリーさんは「苦しんで書いたから、いいものができるんだと思います。ちゃちゃっと終わらせようと思って書くと、やっぱり薄味(うすあじ)のものになるんです」と言った。石津(いしづ)記者は「私(わたし)のがんばっている習字でいえば、苦しんで千枚(まい)を目指して書いた作品で賞がもらえることに似(に)ている」と思った。

■「おでんくん」のひみつ

 リリー・フランキーさんの絵本作品で、テレビアニメにもなった「おでんくん」。「ユニークな作品はどのように生まれたのですか」と質問(しつもん)してみた。

 リリーさんは「ぼくが(北九州(きたきゅうしゅう)市の)小倉(こくら)に生まれていなかったら、かいていなかったかもしれない」と明かした。北九州のおでんは丸いなべにいろいろな具材が一緒(いっしょ)に入っているが、他の所のおでんは具材ごとに仕切りがあるという。リリーさんは、東京(とうきょう)で見たおでんに違和感(いわかん)があった。

 「いろんなものが、グシャって入っているのが地球にいるっぽくて、おもしろい」から、そんな「おでんの世界」をかこうと思ったそうだ。

 きんちゃくを主人公にした理由は、かんぴょうを頭に巻(ま)いて、がんばっている感じがしたかららしい。身近なところからおもしろい話が生まれていて、すごいなと思った。(垣内(かきうち)記者)

■わキャッタ!メモ

 北九州(きたきゅうしゅう)市子どもノンフィクション文学賞 北九州市が、子どもの成長をうながし、次世代の作家を育てようと、2009年度から続けている。自分で見たり、聞いたり、経験(けいけん)したりしたことを自分の言葉で表現(ひょうげん)してもらう。対象は全国の小中学生。15年度の募集(ぼしゅう)など、問い合わせは北九州市立文学館=093(571)1505。

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=2015/04/22付 西日本新聞朝刊=

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