紙面から

【NIE・新聞を作る】家族新聞を作る・久留米信愛女学院中学校

2014年11月07日 19:39

家族新聞を見せ合う生徒たち
家族新聞を見せ合う生徒たち
 今月のNIE(教育に新聞を)特集は、福岡(ふくおか)県久留米(くるめ)市の久留米信愛女学院(しんあいじょがくいん)中学校が取り組む「家族新聞作り」。生徒が家族に取材して記事を書いたり、世の中の気になるニュースを見つけてコラムを書いたり。記事に写真もそえてまとめてみました。日々の新聞を読めば世の中のことがわかるけれど、自分で作ることで社会に目を向けるきっかけにもなるようです。

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■「親の仕事」「命」…日々のさまざまにありがとう

 家族新聞作りにチャレンジしたのは2年生。学校はカトリック系(けい)なので宗教(しゅうきょう)科の授業(じゅぎょう)があり、新聞作りは宗教科と家庭科の夏休みの宿題だった。

 家族新聞は、その名の通り家族の仕事や趣味(しゅみ)、食事などについてインタビューして記事にする。家庭科の山内美保(やまうちみほ)先生(46)は「親にもらった命を大切にしてほしい」と、命に関する世の中のニュースをさがして、自分の意見や感想をつづるコラムも必ずのせることを課題にした。生徒たちは、それぞれ5~6本の記事を書き、B4の紙1枚(まい)に写真や絵といっしょにレイアウトした。

 2学期に入り、2年3組の教室をのぞいた。「いのち」をテーマにした宗教科の授業。生徒が1人ずつ、家族新聞にのせた命のニュースに関するコラムを発表した。選んだニュースは、エボラ出血熱、タイの代理出産、犬・ネコの殺処分(しょぶん)とさまざまだった。

 授業の後、みんなの新聞を見せてもらった。

 豊福美桜(とよふくみお)さん(14)は、建物の解体(かいたい)工事などを手掛(てが)けるお父さんの仕事を取材した記事を、家族新聞のトップ(一番重要な記事)にしていた。お父さんの仕事について初めてくわしく聞いたそうだ。「記事にまとめるのは難(むずか)しかったけれど、危険(きけん)な仕事をしている父の大変さがよく分かった」と話した。新聞作りにはパソコンのソフトを使い、きれいに仕上げた。

 今村有紀子(いまむらゆきこ)さん(13)はコラムで、自分が生まれたときのことを書いた。今村さんは緊急(きんきゅう)の手術(しゅじゅつ)で生まれたそうで、ありがとう(有(あ)り難(がと)う)の「有」の字を名前にもらったそうだ。家族新聞を作るにあたって、毎日の新聞にも目を通したといい「世の中には事件(じけん)や戦争など、悲惨(ひさん)なできごとが多い。当たり前の生活に感謝(かんしゃ)しなくてはいけないと思って、コラムを書いた」と話していた。

■来月はNIE月間 各地で公開授業やセミナー開催

 全国の新聞社や通信社、放送局でつくる日本新聞協会(東京)は、学校や家庭、地域(ちいき)での教育に新聞を使う活動を広げようと、11月をNIE月間と定めている。

 各都道府県には新聞社や教育委員会、学校の先生などで構成(こうせい)するNIE推進(すいしん)協議会があり、各協議会は実践報告(じっせんほうこく)をかねた公開授業(じゅぎょう)や、新聞の活用法を学ぶセミナーなどを予定している。

 福岡(ふくおか)県協議会は、11月21日に同県大任町(おおとうまち)の大任中学校で県大会を開催(かいさい)。3年生による公開授業のほか、福岡教育大の小田泰司(おだやすじ)教授(きょうじゅ)による講演(こうえん)などがある。参加対象は教育関係者のみ。

 一方、西日本新聞こどもふれあい本部は、新聞記者や記者経験者(けいけんしゃ)を小中高校に派遣(はけん)する「出前授業」に取り組んでいる=写真。新聞の読み方や記事を書くコツ、新聞の作り方をはじめ、記者の仕事などについて説明する。社会を知る身近な「教材」としての新聞と、あらためて向き合ってみませんか。

 出前授業の申しこみと問い合わせは、こどもふれあい本部=092(711)5558。

■社会に目を向けるきっかけに  形にする楽しさも学ぶ

 家族新聞作りの目的の一つは「生徒たちが社会に目を向けるきっかけづくりです」と、進路指導(しどう)を担当(たんとう)する岩瀬由紀枝(いわせゆきえ)先生(44)は説明する。

 「家族」というまとまりは一番小さな社会の集団(しゅうだん)。身近な家族への関心を高めることで、その先にある地域(ちいき)や国、世界へと視野(しや)を広げていく試みだ。

 「ふだんは照れくさくても『取材』というきっかけがあれば、家族とより深い話ができるかもしれない」と家庭科の山内先生。親の職業観(しょくぎょうかん)を聞くことで、生徒の進路の参考にしてもらうねらいもある。

 書いた文章を伝えたい順に組み合わせ、写真やイラストをそえて整理する。ふつうの新聞のようにまとめる家族新聞作りには、形にする楽しさもある。事前にプロの記者をまねいて、取材の仕方をふくめたノウハウを学ぶ授業(じゅぎょう)もしてきた。

 山内先生は「言いたいことをコンパクトにまとめ、客観的な視点(してん)で文章を書く新聞作りは、さまざまな教科に生きてくるのではないか」と期待している。

 ひとこと 取材は何かを新しく発見することにつながる。家族新聞作りでは、取材を通して知らなかった家族の一面を発見できた生徒が多かったようだ。思春期で親に反抗(はんこう)してしまう時期だからこそ、家族新聞作りに取り組む意義(いぎ)があるのだろう。(田中)

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=2014/10/29付 西日本新聞朝刊=

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