紙面から

【教えて!ワールド】ミャンマー

2013年06月18日 16:33

“タクシー”をこぐ人。ミャンマーのいなかではまだ自転車が主流だ=ミャンマー西部
“タクシー”をこぐ人。ミャンマーのいなかではまだ自転車が主流だ=ミャンマー西部
 今回の「教えて!ワールド」は東南アジアのミャンマー。長い間、軍人がつくった政府(せいふ)が力ずくで国を治めてきたけど、新しい政府が国民の意見に耳をかたむける「民主化」を始めたことや、経済(けいざい)がどんどん元気になっていることで世界から注目されている国だよ。西南学院(せいなんがくいん)大(福岡(ふくおか)市)神学部4年のル・サンさん(33)にふるさとについて聞いた。

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 ミャンマーは昔、ビルマとよばれていた。約50の少数民族がある。ル・サンさんはその一つ、北部カチン州、カチン族の出身だ。名前の「ル」は、カチン族の言葉で「2番目の娘(むすめ)」という意味で「サン」には「清い、美しい」という意味があるという。日本人のように名字はない。

 カチン州の州都ミッチーナーで生まれ育ち、中学時代にマンダレー、高校でミャンマー第一の都市ヤンゴンに移(うつ)った。

 実家は農家だったので、小学生のときは登校前や下校後も当たり前のように田んぼや畑仕事を手伝った。川に行って竹筒(たけづつ)で水をくむ。米をぼうでついて脱穀(だっこく)するのも子どもたちの大事な仕事だ。
 楽しかったのは外遊び。土をこねて丸く硬(かた)い玉(チャウサロン)を作り、ビー玉のように指ではじく。また日本の「馬とび」「ケンケンパ」によく似(に)た遊びもある。「たくさんの友達と、時間を忘(わす)れて遊びました」

 主食は米とカレーのような料理。中華(ちゅうか)料理に似た炒(いた)めものや、タイ料理に似た麺類(めんるい)もある。民族が多いので、地域(ちいき)によって料理もずいぶんちがう。人が訪(たず)ねてくると「ごはん食べた?」があいさつ。食べていなかったら食事を出す。食事が用意できなかったらお茶、それもないときは水でもいいから出す。「もてなし好きで世話焼き。親しみやすいのがミャンマーの国民性(こくみんせい)です」という。

 ミャンマーでは長い間、「内戦(ないせん)」とよばれる国の中での戦争が続いている。国の軍隊とカチン族との争いも続いていて、ル・サンさんも内戦から逃(に)げる途中(とちゅう)、家族と離(はな)ればなれになったつらい記おくがある。「保護(ほご)された教会で、これからどうなるんだろうと毎日不安だった。子どもの心の傷(きず)は、いつまでも消えないんですよ」

 ル・サンさんには夢(ゆめ)がある。親と暮(く)らせない子どもが安心してすごせる「子どもの家」を、ミャンマーにつくることだ。小学校の教科書でマザー・テレサ(貧(まず)しい人々を助けた修道女(しゅうどうじょ))と、ナイチンゲール(戦場で患者(かんじゃ)に寄(よ)りそった看護師(かんごし))の伝記を読み、自分もミャンマーで看護師になった。「こんなすばらしい人がいる」という驚(おどろ)きが、夢に向かう原動力だ。「子どもにはあこがれの存在(そんざい)が必要です。自分だけのあこがれを見つけてください」

 ●ミャンマー
国名 ミャンマー連邦共和国
面積 67万6600平方キロ
人口 6242万人
首都 ネピドー
通貨 チャット
国内総生産(GDP) 502億ドル
宗教 仏教89%、キリスト教5%、イスラム教4%、精霊崇拝1%
住民 ビルマ民族68%。シャン9%、カレン7%、ラカイン4%など約50の少数民族(細かく分けると135)
言語 公用語はビルマ語。ほかにシャン、カレン語など各民族語
 ※共同通信社「世界年鑑2013」より

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=2013/06/05付 西日本新聞朝刊=

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