紙面から

【栗林慧 虫の目図鑑】クマゼミ

2013年10月01日 19:27

 暑い夏が真っ盛(さか)りのころ、朝日が差し始めると、突然(とつぜん)シャワシャワとクマゼミの鳴き声が聞こえ始めて、その騒々(そうぞう)しい鳴き声が目覚まし代わりとなって一日の生活が始まる感じがします。

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 クマゼミはその名の通り、大きく黒光りの頑丈(がんじょう)そうなからだで、なんといってもその鳴き声の大きさは他のセミに比(くら)べて群(ぐん)を抜(ぬ)いているといってよいでしょう。本来は南方系(なんぽうけい)のセミでだいたい関東地方より南の地域(ちいき)にすんでいたものですが、いまでは北陸の方でも見られるようになり、地球温暖化(おんだんか)の影響(えいきょう)ではないかといわれています。
 幼虫(ようちゅう)は地中で樹木(じゅもく)の根の汁(しる)を吸(す)って生活していますが、土の中なのであまり動き回ることはないと思われるものの、そうして約7年間も土の中にいて成長すると、夏の日の夕方、地上に出てきて近くの草や木に登って羽化(うか)して成虫になります。
 もう年も前になりますが、クマゼミが鳴いているところを、その後ろの景色も入れて写したいと考えて、ワイドレンズを使って20センチぐらいまで近づいて撮影(さつえい)しようとしたのですが、そんなに近づくとセミは驚(おどろ)いてすぐに逃(に)げてしまって全く撮(と)らせてくれません。
 そこで一計を案じて、早朝のまだ薄暗(うすぐら)いうちに、カメラを持って、いつもセミが鳴く木に登って待っていたところ、やがて朝日が差し始めると間もなくあちこちで鳴き声が聞こえ始めて、そのうちにすぐ目の前の枝(えだ)にも飛んできて鳴き出したので、すかさず狙(ねら)ってシャッターを切り、うまく撮影に成功した思い出があります。

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=2013/08/20付 西日本新聞朝刊=

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