紙面から

【記者だより】武雄市図書館 民間運営で利用者急増

2013年06月18日 18:08

これまでの図書館がもつイメージを変えた武雄市図書館
これまでの図書館がもつイメージを変えた武雄市図書館
 あなたにとって図書館はどんな場所ですか? 本を読んだり、借りたり、調べ物をしたり…。普段(ふだん)は利用しなくても、夏休みの宿題を抱(かか)えて駆(か)け込(こ)んだことがあるのでは。「私語(しご)が許(ゆる)されない場所」「ちょっと堅苦(かたくる)しい場所」。こう感じる皆(みな)さんもいることでしょう。

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 佐賀県(さがけん)武雄市(たけおし)の市図書館は、これまでの図書館がもっているこんなイメージを変えました。

 レンタルソフト店「TSUTAYA」を展開(てんかい)する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(CCC)に図書館の運営(うんえい)を依頼(いらい)。約7億5千万円をかけて館内を造(つく)り替(か)え、いろいろな工夫をしました。

 例えば、公立図書館のほとんどが飲食を禁止(きんし)していますが、館内にはコーヒーチェーンの「スターバックスコーヒー」のカウンターがあり、コーヒーやジュースを飲みながら本を読むことができます。持ち込(こ)みもOKで、ペットボトルや水筒(すいとう)を持参する子どもたちも目立ちます。
 また、図書館のスペースと蔦屋(つたや)書店のスペースには仕切りがなく、図書館の本棚(ほんだな)の隣(となり)には書店の本棚も。館内のあちこちに椅子(いす)があり、有料レンタルのCDやDVDもずらり。開館時間は以前の午前10時~午後6時(金曜日は午後7時)から午前9時~午後9時に変更(へんこう)となり、仕事帰りでも立ち寄(よ)ることができるようになりました。しかも年中無休なんです。

 「図書館の利用者は頭打ち。足を運んだことがない若(わか)い世代を増(ふ)やす必要がある」。武雄市の樋渡啓祐(ひわたしけいすけ)市長は当初、民間に運営をお願いした理由をこう説明しました。職員(しょくいん)の人件費(じんけんひ)など、税金(ぜいきん)を使う金額(きんがく)を減(へ)らすことも目的です。

 CCCによると、4月1日の開館から1カ月間の入館者数は9万9358人。前年の同じ時期は1万9853人ですから、一気に5倍も増えました。自動貸出機(かしだしき)で本を借りると1日3ポイント(3円分)が付くCCCの「Tカード」を図書カードとして導入(どうにゅう)したことも訪(おとず)れる人が増えた理由のようです。

 新たにオープンしてから2カ月が経過(けいか)した今も全国から県庁(けんちょう)や市役所などの行政(ぎょうせい)関係者の視察(しさつ)が相次ぎ、滑(すべ)り出しも評判(ひょうばん)も上々ですが、課題は少なくありません。売れ筋(すじ)の書物だけでなく、地域(ちいき)の書籍(しょせき)や歴史資料(しりょう)の収集(しゅうしゅう)、保存(ほぞん)など公立図書館としての役割(やくわり)をどう守っていくのか。CCCのような大手企業(きぎょう)に公共施設(しせつ)でのビジネスを認(みと)める一方、図書館が生まれ変わり販売(はんばい)が減ってきた地元の中小書店やレンタル店をどう支(ささ)えていくのか-。市は民間に全てを“丸投げ”するのではなく、地域に根ざした図書館の、あるべき姿(すがた)を自らが中心となって考える必要があると思います。

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=2013/06/02付 西日本新聞朝刊=

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