紙面から

【ピカ☆いち】柳川さげもん 伝統のひな飾り 福岡県柳川市

2016年04月02日 14:58

古賀さん(中央)が、さげもんの飾りについて説明してくれた
古賀さん(中央)が、さげもんの飾りについて説明してくれた
 「さげもん」って何だか知っていますか。女の子の健(すこ)やかな成長を願って作られる伝統(でんとう)のひな飾(かざ)りのことです。さげもんの地元、福岡(ふくおか)県柳川(やながわ)市に行って、作っている人や開催(かいさい)中のお祭りを取材しました。

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 ●女の子の健やかな成長願い

 ▼51個に大切な意味

 私(わたし)たちは、さげもん作りを30年続けている古賀民子(こがたみこ)さん(70)の家に行った。自宅(じたく)の一部を「柳川さげもん工房(こうぼう) ぎゃらりー古雅(こが)」にして、主婦(しゅふ)ら約10人に作り方を教えているそうだ。

 古賀さんによると、さげもんの飾りは、まりと、動物や植物などをかたどった「袋物(ふくろもの)」。それらを7個(こ)(まり3個、袋物4個)ずつ取り付けた糸7本を竹の輪にさげ、中央にまり2個をさげる。合計で51個になるのは「人生50年といわれた昔、それより長生きするようにという願いをこめたのです」と教えてくれた。

 袋物には一つ一つに意味があるそうだ。セミには「泣く子は育つ」、桜(さくら)には「桜の花のようにかわいく育ちますように」などだ。

 さげもん作りが始まったのは江戸(えど)時代の末ごろ。一説には、高価(こうか)なひな人形を買えない庶民(しょみん)が、着物の端切(はぎ)れなどで作るようになった、といわれている。

 ▼主婦らが受け継ぐ

 柳川では、女の子が生まれると、さげもんを手作りしてプレゼントする風習がある。古賀さんは、子育てがほぼ終わった40歳(さい)の時、めいに贈(おく)ろうと考え、公民館などで他の主婦から作り方を教えてもらったそうだ。井裕理子(いゆりこ)記者は「職人(しょくにん)さんが作ると思っていたので、主婦のみなさんが受(う)け継(つ)いでいることに驚(おどろ)いた」。

 さげもんは二つで一対(いっつい)だ。初めのうちは一対を作るのに1年半くらいかかるという。永光彩乃(ながみつあやの)記者は「2日ぐらいかな、と思っていたので、びっくりした」。

 古賀さんは、まりの作り方も教えてくれた。「木くずを紙と綿(わた)で包み、白い糸を巻(ま)いて丸い形にする。その上に赤やピンクの博多織(はかたおり)の絹糸(きぬいと)などで柄(がら)をつけるのだという」(原竹奈央(はらたけなお)記者)。さげもんをよく見ると、いろいろな色や柄があり、作る人の個性(こせい)が表れていることが分かった。

 ▼昔は家庭でも公開

 昔は、一般(いっぱん)の家庭でも、女の子の初節句(はつぜっく)の時、もらったさげもんを部屋に飾り、公開していたそうだ。近所の子どもたちは、そんな家を回って、お菓子(かし)をもらうのを楽しみにしていた。ただ、最近は、見物客のマナーの問題などもあって、公開する家が減(へ)っている。

 私たちが「さげもんを作る楽しみは何ですか」と質問(しつもん)すると、古賀さんは「孫や娘(むすめ)などへの思いをこめて一生懸命(いっしょうけんめい)に手作りし、飾って、残してあげられることです」と言った。

 「そんな願いがこもったきれいなさげもんをもらった子は、ずっと大切にするだろうな」と原竹沙恵(さえ)記者は思った。

 ●商店街には巨大さげもん

 福岡(ふくおか)県柳川(やながわ)市では「柳川雛(ひな)祭り さげもんめぐり」というイベントが、4月3日まで開かれている。私(わたし)たち
は市内を見て回った。

 商店街には「巨大(きょだい)さげもん」が飾(かざ)られていた。7段(だん)飾りのひな人形の前に、約5メートルもあるさげもんがつりさげられていた。その下に、たくさんのひな人形が置かれ、協力した30人くらいの名前が表示(ひょうじ)されていた。

 一番印象に残ったのは、農業倉庫に展示(てんじ)されていた「雛たちの晴れ舞台(ぶたい)」。ひな人形は、なんと21段飾りで、高さが約7メートルだった。人形は200個(こ)くらいもあって、さげもんが彩(いろど)りをそえていた。

 このほか、婦人会(ふじんかい)のメンバーが手作りしたさげもんなどの展示販売(はんばい)も行われていて、とても楽しめた。

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=2016/03/12付 西日本新聞朝刊=

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