紙面から

【ピカ☆いち】コミカル新体操 鹿児島実業高男子新体操部

2015年12月07日 16:05

チームA。試合会場では写真をせがまれることが多く、記念撮影用のポーズを用意しているという
チームA。試合会場では写真をせがまれることが多く、記念撮影用のポーズを用意しているという
 アニメソングやアイドルの歌を使用し、がに股(また)で倒立(とうりつ)したり、おならをするポーズをしたり。鹿児島(かごしま)市の鹿児島実業高校(鹿実(かじつ))の男子新体操(しんたいそう)部は、コミカルな演技(えんぎ)で知られる。数年前から動画サイトで人気に火が付き、今では全国高校総体(そうたい)(インターハイ)のたびに、「今年の鹿実の振(ふ)り付けは?」とインターネット上で話題に。オンリーワンの輝(かがや)きを放つ同部を訪(たず)ねた。

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 ●チョー人気です

 「足先をそろえて!」「くだらないミスをするな!」。放課後の体育館に、樋口靖久(ひぐちやすひさ)監督(44)の大きな声が響(ひび)く。イベント出演が控(ひか)えているため、選手は通し稽古(げいこ)を何度も繰(く)り返していた。

 人気の男子新体操部は、学外でも引っ張(ぱ)りだこ。多いときは週に2回ほど、パーティーや自治体の催(もよお)しなどに呼(よ)ばれ演技を披露(ひろう)する。特にインターハイが終わった9~12月は外部出演が集中する時期。申し込(こ)みが多すぎて断(ことわ)ることもあるが、1年前から予約する熱心なファンもいるという。

 試合会場では、写真を撮(と)りたいファンに囲まれ、演技中はひときわ大きな歓声(かんせい)や笑い声に包まれる。大学時代に全日本で4回優勝(ゆうしょう)した樋口監督。その監督でさえ、「これほど自分はキャーキャー言われなかった」とうらやましがるほどの人気ぶりだ。

 あこがれて入部した選手は全部で16人。愛知県出身の冨田浩平(とみたこうへい)さん(2年)は、樋口監督の代になって初の他県からの入部者。兄が部員だった福永雅子(ふくながまさこ)さん(2年)は、女子新体操部があるにもかかわらず、男子部に入った。公式戦に出場できないが、イベントでは男子と共に演技する。

 ●実力順にAKB

 開脚(かいきゃく)や倒立、バック転などを難(なん)なくこなす選手の姿(すがた)からは想像(そうぞう)もつかないが、実は選手のほとんどは中学まで体操経験(たいそう)がない「素人集団(しろうとしゅうだん)」だ。

 素人を鍛(きた)え上げる秘密(ひみつ)は、競(きそ)い合う環境(かんきょう)にある。選手は6人一組で実力順にA、K、Bの3組に分けられている。もちろん、あの人気アイドル名をもじったチーム分け。選手の入れ替(か)えは頻繁(ひんぱん)にあり厳(きび)しい。

 インターハイに出場できるのはチームAのみだが、イベントは全チーム総出演(そうしゅつえん)。人前での豊富(ほうふ)な演技経験のおかげか、本番に強いのがこの部の特長。湊悠馬(みなとゆうま)さん(3年)は今年初めてインターハイに出たが、「本番でも緊張(きんちょう)しなかった」と話す。

 ●すべらないネタ

 本番強さを支(ささ)えるもう一つの柱が、ネタ披露の場。演技のおもしろい動きは選手らが考えている。日頃(ひごろ)から「ネタノート」を持ち歩き、思い付いたらアイデアを書き留(と)めている。

 ただ、せっかく考えたネタを披露しても、おもしろくなければ、監督は無表情(むひょうじょう)のまま。相当の重圧だが、選手たちは「精神(せいしん)が鍛(きた)えられる」と前向きだ。

 樋口監督は「ネタを考えることで発想力が、人前に立つことで自信が、そして『素人』から始めた競技(きょうぎ)が上達することで継続力(けいぞくりょく)がつく」と話す。鹿実男子新体操部の強みは、「おもしろさ」の追求を通して身につく力なのだった。

 ●わキャッタ!メモ

 ▼鹿実(かじつ)の男子新体操(しんたいそう)部 1983年に同好会としてスタートし、翌年(よくねん)、部に昇格(しょうかく)。樋口靖久監督(ひぐちやすひさかんとく)は95年にコーチに、2001年から監督に就任(しゅうにん)し、個性(こせい)ある演技(えんぎ)を目指そうと、コミカルな演技(えんぎ)を少しずつ取り入れた。当初は批判(ひはん)もあったが、ファンがネットに投稿(とうこう)した数種類の動画の再生(さいせい)回数は延(の)べ数百万回に上る。ここ数年間のインターハイ成績(せいせき)は10位台だが、「今の路線で本気で全国制覇(せいは)を狙(ねら)っている」(樋口監督)。

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=2015/11/21付 西日本新聞朝刊=

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