紙面から

【ニュースのおっへぇそぅ】日銀の仕事と金融緩和

2013年06月15日 16:39

 Q 日銀って、なに?
 A 正式には日本銀行と呼(よ)びます。銀行と名前が付いていますが、私(わたし)たち市民や会社からのお金を預(あず)かったりはしません。大きく三つの役割(やくわり)があります。一つめは一万円札や五千円札といったお札(紙幣(しへい))を発行すること。これは日本銀行だけができることです。お札には「日本銀行券(ぎんこうけん)」と印刷されていますよね。

【ニュースのおっへぇそぅ】日銀の仕事と金融緩和 紙面はこちら

 Q 二つめの役割は?
 A 日銀は、国のお金の出し入れをしています。国は日銀に預金口座(よきんこうざ)をもっており、税金(ぜいきん)などがこの口座に集まってきます。また、道路の建設(けんせつ)代金やお年寄(としよ)りたちに渡(わた)す年金は、この口座から支払(しはら)われます。国が借金する際(さい)の事務(じむ)手続きも行っています。

 Q 三つめの役割は?
 A 私たちが銀行にお金を預けたり、銀行からお金を借りたりするのと同じように、銀行は日銀に預金口座を持ってお金を預けたり、日銀からお金を借りたりします。つまり「銀行の銀行」なのです。

 Q それでどんなことをしてるの?
 A 物の値段(ねだん)である「物価(ぶっか)」が安定するよう調節しています。物価が急に上がると買い物に困(こま)りますよね。みんなが買い物を控(ひか)えたら物を売る会社のもうけが減(へ)ります。逆(ぎゃく)に物価が下がり続けると、特に高い値段の物は「もっと安くなるだろうから買わない」と思う人が増(ふ)え、売れなくなるでしょう。会社もお客に買ってもらおうと無理をして値段を下げれば、さらにもうけが減ってしまいます。会社がもうからなければ、そこに勤(つと)めるお父さんやお母さんの給料は上がらず、子どものお小遣(こづか)いが減るかも…。

 Q それは困るよ。どうやって物価を安定させるの?
 A 世の中のお金の量を増やす「金融緩和(きんゆうかんわ)」をしたり、量を減らす「金融引き締(し)め」をしたりします。金融緩和は、お金を発行する日銀が、そのお金で銀行が持つ国債(こくさい)を買って行い、引き締めは国債を銀行に売ることで行います。

 Q 国債ってなに?
 A 国の借用証(しゃくようしょう)(お金を借りたことを証明(しょうめい)する紙)みたいなものです。国は道路を造(つく)るなど国を運営(うんえい)するのに税金で足りない分を借金します。国債を発行し、それを銀行に買ってもらうことでお金を入手するのです。銀行には一定期間過(す)ぎれば国が利子付きで返金します。

 Q 日銀が国債を買ったり売ったりするとどうなるの?
 A 日銀は銀行に代金としてお金を払(はら)います。お金が増えた銀行は、人々や会社にお金を貸(か)しやすくなります。お金を借り、自動車や家など高い物を買う人が増えれば、会社がもうかり、給料が増えることで、さらに物を買う動きが増えます。そうなれば、会社は強気(つよき)になって値段を上げ、物価は上がります。逆に、日銀が国債を銀行に売れば、銀行から日銀にお金が流れ、銀行のお金は少なくなり、お金を貸しにくくなるため、結果的に物を買う人も減り、物価は下がります。

 Q 日銀が4月に驚(おどろ)くようなことをしたと聞いたけど?
 A 日本経済(けいざい)はこの15年間、物価が下がり続ける「デフレ」という景気の悪い状態(じょうたい)です。これをなんとかしようと日銀は金融緩和を続けたけど効果(こうか)が出ませんでした。しかし、黒田東彦(くろだはるひこ)さんが日銀トップの総裁(そうさい)になり、4月、銀行に流すお金の量を2年で2倍にすると決めました。増やす規模(きぼ)も速さも大きく違(ちが)い、「景気がよくなるかも」という期待が一気にふくらみました。

 Q お金の量で景気も調節できるのかな。本当に景気は良くなるの?
 A 一部には良くなりそうなデータが出始めています。ただ、増えたお金を人々や会社が銀行から借りて、たくさん買い物や工場建設などに使わなければ、本格的(ほんかくてき)には景気が良くなりません。日銀は人々にお金を使ってもらうように「2年で物価を2%上げる」と宣言(せんげん)しました。物価が上がる前に買い物をする動きを強めようという狙(ねら)いです。しかし、「物価が上がるなら将来(しょうらい)に備(そな)えてお金をためておこう」と考える人もいると指摘(してき)する専門家(せんもんか)もおり、どこまで効果があるかは分かりません。  (渡辺晋作(わたなべしんさく))

 ●プラス〓(〓はアルファ) 新聞で探してみよう
 ▼2013年4月5日付朝刊 日銀、供給資金2年で2倍
 日銀は4日、金融政策(きんゆうせいさく)決定会合を開き、お金の総額(そうがく)を2年間で2倍に増(ふ)やす新たな量的緩和(かんわ)に踏(ふ)み切ることを決めた。長期国債(こくさい)の購入(こうにゅう)を約100兆円増やし、市場に緩和規模(きぼ)を分かりやすく示(しめ)す。デフレ脱却(だっきゃく)の目安となる2%の物価上昇(ぶっかじょうしょう)目標を2年程度(ていど)で達成するため、大規模な金融緩和に転換(てんかん)した。

 ▼2013年4月27日付朝刊 物価上昇2%、2年後に達成
 日銀の黒田東彦総裁(くろだはるひこそうさい)は26日、金融政策(きんゆうせいさく)決定会合後に記者会見し、物価上昇率(ぶっかじょうしょうりつ)は2015年度の早い時期に2%に達する可能性(かのうせい)が高いとの見通しを示(しめ)した。大規模(だいきぼ)な金融緩和(かんわ)により景気回復(かいふく)が進むとの想定を反映(はんえい)し、13年度、14年度の物価見通しを大幅(おおはば)に上方修正(しゅうせい)。物価上昇(じょうしょう)目標を2年後に達成する道筋(みちすじ)を明示した。

 ▼2013年5月3日付朝刊 日銀資金供給残高、過去最高に
 日銀が2日発表した4月のマネタリーベース(資金供給(しきんきょうきゅう)残高)によると、世の中に出回るお金の量が4月末時点で155兆2803億円と過去最高になった。4月4日に決めた大規模(だいきぼ)な金融緩和策(きんゆうかんわさく)を受け、長期国債(こくさい)の購入(こうにゅう)を一段(いちだん)と増(ふ)やし市場に大量のお金を供給したため。日銀は2%の物価上昇(ぶっかじょうしょう)目標の達成に向け、資金供給残高を今後も増やしていく方針(ほうしん)だ。

【ニュースのおっへぇそぅ】日銀の仕事と金融緩和 紙面はこちら

=2013/05/20付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]